1、第十三条に規定するもののほか、粉末消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準は、次のとおりとする。
一、全域放出方式又は局所放出方式の粉末消火設備の噴射ヘッドの設置は、第十六条第一号又は第二号に掲げる全域放出方式又は局所放出方式の不活性ガス消火設備の噴射ヘッドの設置の例によるものであること。
二、移動式の粉末消火設備のホース接続口は、すべての防護対象物について、当該防護対象物の各部分から一のホース接続口までの水平距離が十五メートル以下となるように設けること。
三、移動式の粉末消火設備のホースの長さは、当該粉末消火設備のホース接続口からの水平距離が十五メートルの範囲内の当該防護対象物の各部分に有効に放射することができる長さとすること。
四、粉末消火剤容器に貯蔵する粉末消火剤の量は、総務省令で定めるところにより、防護対象物の火災を有効に消火することができる量以上の量となるようにすること。
五、粉末消火剤容器及び加圧用ガス容器は、点検に便利で、火災の際の延焼のおそれ及び衝撃による損傷のおそれが少なく、かつ、温度の変化が少ない箇所に設けること。ただし、保護のための 有効な措置を講じたときは、この限りでない。
六、全域放出方式又は局所放出方式の粉末消火設備には、非常電源を附置すること。
1、全域放出方式の粉末消火設備の噴射ヘッドは、第十九条第二項第一号の規定の例によるほか、次の各号に定めるところにより設けなければならない。
一、噴射ヘッドの放射圧力は、〇・一メガパスカル以上であること。
二、第三項第一号に定める消火剤の量を三十秒以内に放射できるものであること。
三、消防庁長官が定める基準に適合するものであること。
2、局所放出方式の粉末消火設備の噴射ヘッドは、第十九条第三項第一号及び第二号の規定の例によるほか、次の各号に定めるところにより設けなければならない。
一、次項第二号に定める消火剤の量を三十秒以内に放射できるものであること。
二、消防庁長官が定める基準に適合するものであること。
3、粉末消火剤の貯蔵容器又は貯蔵タンク(以下この条において「貯蔵容器等」という。)に貯蔵する消火剤の量は、次の各号に定めるところによらなければならない。
一、全域放出方式の粉末消火設備にあつては、次のイ又はロに定めるところにより算出された量以上の量とすること。
二、局所放出方式の粉末消火設備にあつては、次のイ又はロに定めるところにより算出された量に一・一を乗じた量以上の量とすること。
三、全域放出方式又は局所放出方式の粉末消火設備において、同一の防火対象物又はその部分に防護区画又は防護対象物が二以上存する場合には、それぞれの防 護区画又は防護対象物について前二号の規定の例により計算した量のうち最大の量以上の量とすること。
四、移動式の粉末消火設備にあつては、一のノズルにつき次の表の上欄に掲げる消火剤の種別に応じ、同表下欄に掲げる量以上の量とすること。
消火剤の種別 | 消火剤の量 |
---|---|
第一種粉末 | 50キログラム |
第二種粉末又は第三種粉末 | 30 |
第四種粉末 | 20 |
4、全域放出方式又は局所放出方式の粉末消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準の細目は、第十九条第五項第三号並びに第四号イ(ロ)及び(ハ)の規定の例によるほか、次のとおりとする。
一、粉末消火設備に使用する消火剤は、第一種粉末、第二種粉末、第三種粉末又は第四種粉末とすること。ただし、駐車の用に供される部分に設ける粉末消火設備に使用する消火剤は、第三種粉末とするものとする。
一の二、道路の用に供される部分には、全域放出方式又は局所放出方式の粉末消火設備を設けてはならない。
二、貯蔵容器等の充てん比は、次の表の上欄に掲げる消火剤の種別に応じ、同表下欄に掲げる範囲内であること。
消火剤の種別 | 充てん比の範囲 |
---|---|
第一種粉末 | 0.85以上1.45以下 |
第二種粉末又は第三種粉末 | 1.05以上1.75以下 |
第四種粉末 | 1.50以上2.50以下 |
三、貯蔵容器等は、第十九条第五項第六号の規定の例によるほか、次のイからホまでに定めるところによること。
四、貯蔵容器等には残留ガスを排出するための排出装置を、配管には残留消火剤を処理するためのクリーニング装置を設けること。
五、加圧用ガス容器は、貯蔵容器等の直近に設置され、かつ、確実に接続されていること。
五の二、加圧用ガス容器には、消防庁長官が定める基準に適合する安全装置及び容器弁を設けること。
六、加圧用又は蓄圧用ガスは、次のイからニまでに適合するものであること。
七、配管は、次のイからチまでに定めるところによること。
八、加圧式の粉末消火設備には、二・五メガパスカル以下の圧力に調整できる圧力調整器を設けること。
九、加圧式の粉末消火設備には、次のイからハまでに定めるところにより定圧作動装置を設けること。
イ、起動装置の作動後貯蔵容器等の圧力が設定圧力になつたとき放出弁を開放させるものであること。
ロ、定圧作動装置は、貯蔵容器等ごとに設けること。
ハ、定圧作動装置は、消防庁長官が定める基準に適合するものであること。
十、蓄圧式の粉末消火設備には、使用圧力の範囲を緑色で表示した指示圧力計を設けること。
十一、選択弁は、第十九条第五項第十一号イからハまでの規定の例によるほか、消防庁長官が定める基準に適合するものであること。
十二、貯蔵容器等から噴射ヘッドまでの間に選択弁等を設けるものには、当該貯蔵容器等と選択弁等の間に消防庁長官が定める基準に適合する安全装置又は破壊板を設けること。
十三、起動用ガス容器は、第十九条第五項第六号並びに第十三号イ及びハの規定の例によるほか、次のイ及びロに定めるところによること。
イ、その内容積は、〇・二七リットル以上とし、当該容器に貯蔵するガスの量は、百四十五グラム以上であること。
ロ、充てん比は、一・五以上であること。
十四、起動装置は、第十九条第五項第十四号イ、第十五号及び第十六号(同号ハを除く。)の規定の例によること。
十五、音響警報装置は、第十九条第五項第十七号の規定の例によること。
十六、全域放出方式のものには、第十九条第五項第十九号イに規定する保安のための措置を講じること。
十七、非常電源及び操作回路等の配線は、第十九条第五項第二十号及び第二十一号の規定の例によること。
十八、消火剤放射時の圧力損失計算は、消防庁長官が定める基準によること。
十九、第十二条第一項第八号の規定は、粉末消火設備について準用する。
二十、貯蔵容器等、加圧ガス容器、配管及び非常電源には、第十二条第一項第九号に規定する措置を講じること。
5、移動式の粉末消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準の細目は、第十九条(不活性ガス消火設備)第六項第二号から第五号の二まで並びに前項第一号、第二号、第三号イからホまで、第四号から第七号まで及び第十号の規定の例によるほか、次のとおりとする。
一、道路の用に供される部分に設ける粉末消火設備に使用する消火剤は、第三種粉末とすること。
二、ノズルは、次の表の上欄に掲げる消火剤の種別に応じ、一のノズルにつき毎分同表下欄に掲げる量以上の消火剤を放射できるものであること。
消火剤の種別 | 消火剤の量 |
---|---|
第一種粉末 | 45キログラム |
第二種粉末又は第三種粉末 | 27 |
第四種粉末 | 18 |
三、ホース、ノズル、ノズル開閉弁及びホースリールは、消防庁長官が定める基準に適合するものであること。
1、次の表の上欄に掲げる防火対象物又はその部分には、水噴霧消火設備、泡消火設備、不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備のうち、それぞれ当該下欄に掲げるもののいずれかを設置するものとする。
防火対象物又はその部分 | 消火設備 |
---|---|
令別表第一(十三)項ロに掲げる防火対象物 | 泡消火設備又は粉末消火設備 |
別表第一に掲げる防火対象物の屋上部分で、回転翼航空機又は垂直離着陸航空機の発着の用に供されるもの | 泡消火設備又は粉末消火設備 |
別表第一に掲げる防火対象物の道路(車両の交通の用に供されるものであつて総務省令で定めるものに限る。以下同じ。)の用に供される部分で、床面積が、屋上部分にあつては六百平方メートル以上、それ以外の部分にあつては四百平方メートル以上のもの | 水噴霧消火設備、泡消火設備、不活性ガス消火設備又は粉末消火設備 |
別表第一に掲げる防火対象物の自動車の修理又は整備の用に供される部分で、床面積が、地階又は二階以上の階にあつては二百平方メートル以上、一階にあつては五百平方メートル以上のもの | 泡消火設備、不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備 |
別表第一に掲げる防火対象物の駐車の用に供される部分で、次に掲げるもの 一 当該部分の存する階(屋上部分を含み、駐車するすべての車両が同時に屋外に出ることができる構造の階を除く。)における当該部分の床面積が、地階又は二階以上の階にあつては二百平方メートル以上、一階にあつては五百平方メートル以上、屋上部分にあつては三百平方メートル以上のもの 二 昇降機等の機械装置により車両を駐車させる構造のもので、車両の収容台数が十以上のもの | 水噴霧消火設備、泡消火設備、不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備 |
別表第一に掲げる防火対象物の発電機、変圧器その他これらに類する電気設備が設置されている部分で、床面積が二百平方メートル以上のもの | 不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備 |
別表第一に掲げる防火対象物の鍛造場、ボイラー室、乾燥室その他多量の火気を使用する部分で、床面積が二百平方メートル以上のもの | 不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備 |
別表第一に掲げる防火対象物の通信機器室で、床面積が五百平方メートル以上のもの | 不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備 |
別表第一に掲げる建築物その他の工作物で、指定可燃物を危険物の規制に関する政令別表第四(以下この項において「危険物政令別表第四」という。)で定める数量の千倍以上貯蔵し、又は取り扱うもの
指定可燃物 | 消火設備 |
---|---|
危険物政令別表第四に掲げる綿花類、木毛及びかんなくず、ぼろ及び紙くず(動植物油がしみ込んでいる布又は紙及びこれらの製品を除く。)、糸類、わら類、再生資源燃料又は合成樹脂類(不燃性又は難燃性でないゴム製品、ゴム半製品、原料ゴム及びゴムくずに限る。)に係るもの | 水噴霧消火設備、泡消火設備又は全域放出方式の不活性ガス消火設備 |
危険物政令別表第四に掲げるぼろ及び紙くず(動植物油がしみ込んでいる布又は紙及びこれらの製品に限る。)又は石炭・木炭類に係るもの | 水噴霧消火設備又は泡消火設備 |
危険物政令別表第四に掲げる可燃性固体類、可燃性液体類又は合成樹脂類(不燃性又は難燃性でないゴム製品、ゴム半製品、原料ゴム及びゴムくずを除く。)に係るもの | 水噴霧消火設備、泡消火設備、不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備 |
危険物政令別表第四に掲げる木材加工品及び木くずに係るもの | 水噴霧消火設備、泡消火設備、全域放出方式の不活性ガス消火設備又は全域放出方式のハロゲン化物消火設備 |
2、前項の表に掲げる指定可燃物(可燃性液体類に係るものを除く。)を貯蔵し、又は取り扱う建築物その他の工作物にスプリンクラー設備を前条に定める技術上の基準に従い、又は当該技術上の基準の例により設置したときは、同項の規定にかかわらず、当該設備の有効範囲内の部分について、それぞれ同表の下欄に掲げる消火設備を設置しないことができる。